遺留分・寄与分について
遺留分に関する良くあるご相談
- 遺言内容が著しく不公平なので、対抗手段を教えてほしい
- 両親の世話や介護などの献身は、遺産分割に反映されないのか
- 遺留分は、相続人が出生前の胎児でも認められるのか
遺留分を請求するには?
「遺留分」とは、法定相続人に認められた「一定の遺産を受け取ることのできる」権利です。自動的に発生する性格ではないので、相続の開始から1年以内に請求をする必要があります。なお、遺産分割の審判は家裁で行いますが、遺留分はまず家裁で調停を行い、不成立の時は、訴訟により解決を図ります。
遺留分を請求された場合には?
まずは、請求内容と要件を満たしているのかどうかを確認しましょう。例えば、請求してきた相手が故人の兄弟姉妹である場合は、主張が通り得ません。特に問題が見当たらない場合は、遺言より優先される強い権利なので、粛々と受け入れるしかないでしょう。ただし、何を遺留分減殺の対象とするかは、支払う側が選べます。優先順位の低い資産で対処していきましょう。
特別受益について
特別受益が問われるのは、相続人の一部が、結婚式の費用や学費などの援助を受けていた場合です。これらを「生前に受けた相続」とみなせば、本来の権利分から減額することも可能でしょう。ただし、現実には認められないことが多いようです。話し合いの中で、法から離れて事情を訴えた方がスムーズかもしれません。
寄与分について
故人の資産を著しく増加させたり損失を免れたりするなど、一定の貢献を果たした相続人には、特別の財産分与が認められます。ただし、気持ちの問題は考慮されにくく、目に見える具体的な数字が求められます。なお、寄与分を主張する際は、遺産分割とは別途寄与分の調停・審判の申立てを行うことになります。
当所にて遺留分減殺請求を行ったケース①
ご相談内容
父の遺言が見つかり、家業を手伝っていた兄に「遺産の全額を譲る」と指定されていました。インターネットで調べてみたら「遺留分」が主張できそうなのですが、このまま進めても大丈夫でしょうか。
無料相談でのアドバイス
典型的な「遺留分減殺請求」の事例といえるでしょう。ただし、遺言そのものが無効となれば、本来の法定相続分を譲り受けられます。これらは、寄与分の手続きと異なり同時進行が可能ですから、「遺留分減殺請求」の主張とともに、遺言の有効性に疑問があるときは、それを主張したらよいでしょう。
正式依頼の結果
遺言が法的な要件を満たしておらず、故人の意思能力も疑われたことから、裁判所より無効という判断が下されました。
ここがポイント
一般的に遺留分は「法定相続分の2分の1」とされています。いたずらに権利を主張するより、弁護士と相談してから対策を考えた方が、好ましい結果につながるでしょう。
当所にて遺留分減殺請求をされたケース②
ご相談内容
親の遺言により、遺産の全額が相続されましたが、弟より「遺留分減殺請求訴訟」を起こされてしまいました。親の遺志を無視するものであり、とうてい納得がいかないのですが、何とかならないでしょうか。
無料相談でのアドバイス
真っ向からの勝負は不利です。話し合いによる糸口を探しましょう。ただし、遺留分は原則として否定できないので、「ゼロ回答」はあきらめてください。相手にもメリットが感じられる着地点を探していきましょう。
正式依頼の結果
弟側が土地を望んでいたので、ご依頼者にとって優先順位の低い不動産を分与しました。
ここがポイント
利害調整は弁護士が最も活躍できる分野です。ただし裁判でも、両者が納得できる筋道さえ付けば、中間点で和解する場合もあります。